プロパンガスの「料金が分かりにくい」「設備の費用が上乗せされている」という問題は、ここ数年で急に出てきたものではありません。25年以上前から指摘され、少しずつ正されてきた歴史があります。
1999年6月、公正取引委員会は「LPガス販売業における取引慣行等に関する実態調査報告書」を公表し、競争政策の観点から、無償配管の慣行と不透明な料金体系の是正を求めました。同じ年の10月には、国(当時の通商産業省)が取引の適正化と料金の透明化に向けた「流通アクションプラン」を発表しました。
背景には、一戸建ての配管をガス会社が持ったまま、家主に知らされないまま取り決められ、ガス会社を変えようとすると突然、高額の配管費用を請求されるという問題がありました。裁判でこうした請求が否定される例も出ていました。
出典:全国LPガス協会「LPガス販売指針」(第5次改訂・2025年1月)「はじめに」、資源エネルギー庁「LPガスの商慣行是正に向けた制度改正と実効性確保策」(2024年6月20日)
| 2000年9月 | 業界団体が自主ルール「LPガス販売指針」を策定。配管の持ち主がガス会社であることを契約のときに家主と合意し、途中解約の条件を示すことなどを定めた。 |
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| 2001年7月 | 省令の改正で、ガス会社を変えるときの設備の無断撤去を禁止するルールができた。 |
| 2003〜2017年 | 販売指針を4回改訂。 |
販売指針には、1997年の法改正をきっかけに、消費者をガス会社に取り次ぐブローカー業者が首都圏を中心に多くの契約トラブルを起こすようになった、という経緯も書かれています。
出典:全国LPガス協会「LPガス販売指針」(第5次改訂・2025年1月)
2017年2月、資源エネルギー庁は「液化石油ガスの小売営業における取引適正化指針」(取引適正化ガイドライン)を定め、ガス会社に標準的な料金メニューを公表するよう求めました。ただし、これは「求める」ものでした。国の委託調査(2017年度)では、公表している事業者は全国で75.6%、岡山県で80.4%でしたが、その多くは店頭での掲示で、ホームページでの公表はごく一部でした。
出典:エルピーガス振興センター「平成29年度石油製品需給適正化調査」(2018年3月・資源エネルギー庁の委託調査)
2018年3月には、公正取引委員会が、ある県のLPガス協会に対し、切り替え営業をする事業者の入会を拒み続けていたことが独占禁止法に違反する(事業者の数の制限)として、排除措置命令を出しました。入会できないと業界団体の保険に入れず、新しく参入するのが難しくなっていたためです。
出典:公正取引委員会 報道発表(2018年3月9日)
それでも賃貸住宅の「無償貸与」は広がり、エアコンやWi-Fi機器の費用まで入居者のガス料金で回収される例が出てきました。国は2023年に審議会で議論を始め、2024年7月と2025年4月の2段階で、罰則つきのルールに改めました(商習慣の問題と国の見直し)。
国の会議では、委員から、料金の問題がここまで動いたのは北海道や神奈川の消費者団体の地道な調査活動の成果だという意見も出されました。
出典:資源エネルギー庁「LPガスの取引適正化に向けた制度改正の内容」(2024年7月11日)
消費者の側の調査については「消費者団体の調査が明らかにしてきたこと」をご覧ください。
2025年12月23日には、最高裁が、一戸建てで途中解約したときに設備の費用を求める契約の条項を無効と判断しました(貸付配管と最高裁判決)。1999年に公正取引委員会が指摘した「無償配管」の問題に、司法の判断が示された形です。
一方で、2026年の国の調査でも、利益の提供や長い契約はなお多く残っていると報じられています(ルール改正で何が変わり、何が残ったか)。