一戸建てでガス会社を変えようとしたら、「配管の費用を払ってください」と言われた――。こうしたトラブルの背景にあるのが「貸付配管」という商習慣です。2025年12月、最高裁判所はこの問題について、消費者側に立つ判断を示しました。
資源エネルギー庁の説明では、家を建てるときに、工務店や建設会社が提携しているガス会社に家の中のガス配管の工事をさせ、その工事費を家の建築費に含めず、ガス会社が配管の持ち主のままガスを供給する商習慣です。
かつては「無償配管」と呼ばれ、家の持ち主に知らされないまま取り決められ、ガス会社を切り替えようとすると、突然、高額の配管費用を請求されることがあったとされています。
出典:資源エネルギー庁「LPガスの商慣行是正に向けた制度改正と実効性確保策」(2024年6月20日)
| 1999年 | 公正取引委員会が実態調査の報告書を出し、無償配管の慣行と不透明な料金体系の是正を指導。国(当時の通商産業省)は「流通アクションプラン」を作成。 |
|---|---|
| 2000年〜 | 業界の自主ルール「LPガス販売指針」で、配管の持ち主がガス会社であることや途中解約の条件を、契約時に家の持ち主と合意・明示することに。 |
| 2024年 | 国の審議会の中間とりまとめで、今後の新しい契約では貸付配管を行わない方向で取り組み、「建物の持ち主と配管の持ち主を一致させる」ことが望ましいとされる。 |
出典:全国LPガス協会「LPガス販売指針」、資源エネルギー庁「LPガスの商慣行是正に向けた制度改正と実効性確保策」(2024年6月20日)、液化石油ガス流通ワーキンググループ 中間とりまとめ(2024年4月)
国の資料も、解約時の配管費用の精算をめぐって「多数の訴訟事件が発生している」と書いています。報道によると、配管工事費は20〜30万円ほどで、ガス会社は15年ほどの長い契約の中で料金とともに回収する仕組みだとされます。
| 裁判所 | 最高裁判所 第三小法廷 |
|---|---|
| 事案 | 戸建て住宅の住人が、契約で定めた10年がたつ前にガス会社を切り替えたとして、ガス会社が配管などの設置費用を請求した6件の訴訟 |
| 判断 | 「10年未満で解約したら支払う」とした契約の条項は、消費者契約法により無効。6件中5件でガス会社の敗訴が確定し、1件は高等裁判所に差し戻し |
| 理由(報道の要旨) | 請求は配管設置の対価とはいえず、途中解約を防ぐための実質的な違約金。設備の費用は契約者全体のガス料金で回収する仕組みで、ガス会社に解約による「平均的な損害」は生じていない |
出典:時事通信「LPガス事業者の敗訴確定 途中解約で費用請求『無効』―最高裁」、日本経済新聞「LPガス途中解約で設置費請求は不可、過剰な違約金と認定 最高裁」(いずれも2025年12月23日)
これから家を建てる・買う方は「一戸建てを建てる・買うときのガスの契約」もご覧ください。
解約のときの清算や撤去のルールは「ガス会社を変えるときの決まり」にまとめています。